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新聞紙で買い物袋③

    • 2020年08月07日(金)
    • いいね新聞生活

レジ袋有料化 只見中モデル広めよう

7月1日からプラスチック製レジ袋の有料化が義務付けられる。只見町では海洋汚染について学んだ中学生の発案で新聞紙を利用して手提げ袋を作り、町内の店舗でレジ袋として使ってもらう取り組みが始まっている。新聞紙レジ袋を普及させ、自然環境保護の輪を広げたい。

プラスチックは軽くて便利な素材だが、リサイクルされない限り分解されず、ごみとして自然にたまっていく。環境省が公表している資料によると、世界で年間800万トン以上のプラスチックごみが海に流出している。

只見町の只見中では、山村から世界に視野を広げる「海洋教育」を昨年度から実施している。昨夏、現在の3年生が実際に海を訪れ、プラスチックごみ問題の深刻さを肌で感じた。自分たちにできることを考え、新聞紙レジ袋を考案した。作り方はインターネットの情報を参考にした。

当初は3年生27人が担当していたが、受注が増え、今は全校挙げて取り組んでいる。総合学習の時間や昼休みなどを活用している。材料は学校で購読している新聞を使っているため、以前のように廃棄しなくてもよくなった。新聞紙の再利用にもつながっている。

一方、福島市の就労継続支援施設「ワークショップろんど」では、英字新聞を使って作製し、「エコバッグ」として販売している。エコバッグとは、エコロジー(環境活動)などから生まれた呼び方で、店舗側が提供するレジ袋に対し、買い物客が持参するマイバッグと同じ意味で使われることが多い。

「ろんど」のエコバッグは、二本松市道の駅安達で販売している。元々、イベント参加者へのプレゼントだったが、受け取った人の要望を受け商品化した。新聞紙は吸湿性があり、野菜の保存袋にも適している。「使い勝手がいい」「贈り物入れに喜ばれる」と人気を集めている。

新聞紙は再利用に適した素材だ。読み終えた新聞がレジ袋、エコバッグとして活用されれば、プラスチック製レジ袋を含めたごみの削減につなげることができる。

有料化されても、プラスチック製レジ袋を使う人が減らなければ意味がない。学校、企業、各種団体が新聞紙でレジ袋を作り、コンビニやスーパーなど小売店が採用する。只見町のような流れを実践する地域が増えてほしい。

自然環境を守るという共通の思いから連携が生まれる。只見町の生徒がまいた種を、県民みんなで大きく育てていきたい。(三神尚子)

(2020年6月18日付福島民報より)※この記事は、福島民報社の許諾を得て転載しています。