高松の西武へのトレード移籍のニュースに触れた。気持ちも靴紐もギュッと締めてくれと願った。

あれは3年前か。記者のもとに連絡があった。「プロ野球選手で、うちの靴ひもを使ってくれる選手はいないかな？」。電話の主はサッカー担当時代の知り合い。クラブの海外キャンプの手配をするかたわら、靴ひも開発を始めた。ひもが切れるケースが目立ったためで、Jリーガーから相談されたのがきっかけという。

でき上がったのは、伝統工芸の伊賀組みひもを製造する「糸伍（いとご）」（三重県伊賀市）による「くみひもシューレース」。今月J1神戸を退団したイニエスタも使っているといい、高松は昨季から愛用している。

先日、高松に何げなく「ひもはどう？」と聞いた。「フィットしています。ひもも1度も切れていないですよ」とニコっとした。今季2盗塁。一昨季は15盗塁。まずは2年前に追いつくため、切れない靴ひもで、西武の一員として抜群のスタートを切ってもらいたい。

川本　光憲