美濃陶芸協会【第5回】山口美智江さん
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- 2024年09月16日(月)
- 偉人伝
山口美智江(やまぐち・みちえ)(60)
1964年愛知県一宮市生まれ。名古屋市に工房を構える。
2020年第54回女流陶芸展文部科学大臣賞受賞。
「わたしの中のイメージは全部女性の体なんです」と山口美智江さんが制作意図を説明してくれた通りの丸みを帯び、柔らかさを想起させる作風です。
過去の作品が並ぶ工房
電気窯
大学、専門学校と服飾を学び、自作のウエディングドレスで結婚式をあげたほどの腕前でしたが、当時仕事にするのは難しかったそうです。陶芸の道に入ったきっかけは料理好きで、自分でプロデュースするには料理を盛る器を作りたくなったから。
陶芸教室に通い出し、先生からいきなり「あなたは大きな物を作ってみなさい」と言われ、「つぼみ」という作品を発表しました。
「制作に入ると、乾燥させながら形を作るので2週間は家から動けなくなります」
40歳で多治見工業高校専攻科に入学、あらゆる釉薬(ゆうやく)が作れる環境からできた色が現在につながっています。
「完成したと思える作品がまだできていないんです。焼き物は最後は窯の仕事で、手が届かない」と話しますが、「窯から出てきた焼き物の肌を触った感触は何物にも変えられないほど好き」だそうです。大物作品から入っていたので苦手だった小作品の「面白さを見つけた」と、茶わん作りにも力が入ります。
夫の山口宗浩さんは茶道裏千家の教授。ご自宅にある茶室の美智江さんの花活けを見ながら、「見る角度で違うんですよ」と、自庭で育てている花を活けているそうです。
(Adachi Masako)
月刊紙『マイタウンとうと』編集長。東京都出身。短大卒業後、証券会社で営業、新聞社系出版社で編集を経験。子どもが小さいときは時間で終わる公的機関でパートをし、その後編集復帰。カルチャーもスポーツも何でも興味が湧いたことには直接足を運び、自分の目で見ることを心掛けています。一方、家で過ごすのも大好きで、週末は家から一歩も出たくない気分の日もたびたび…。