『納豆新聞』(第25回「300文字小説賞」最優秀賞作品)
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- 2021年01月12日(火)
- いいね新聞生活
心温まる日常のひと時を!
中日新聞サンデー版が主催する第25回「300文字小説賞」の最優秀賞に中尾聖河(きよか)さん(東京都杉並区・学生・21歳)の作品が選ばれました。家族愛にほのぼの気分♪
『納豆新聞』
私の家族は、朝それぞれ違う時間に起きる。
初めに母が起き、ご飯を準備してくれる。
次に妹、父と続き、最後に朝にめっぽう弱い私が母にたたき起こされる。
私の家族は、朝起きた順に新聞を読む。いつも私は家族が読み終わった新聞を読む。
時々、新聞の両面がくっついていて、めくれないことがある。
よく見ると、ついているのは納豆。誰かが寝坊して、朝ご飯を食べながら新聞を読んだ跡だ。ちなみに、朝、納豆を食べるのは父だけ。
また納豆がついてるよ、と思いながら、昨晩も父の帰りが遅かったことを思い出す。
今日も私は新聞を読む。
父が単身赴任となり、納豆がついている新聞を見なくなって二年がたった。
今日も頑張っていますか? お父さん。
(令和3年1月3日付中日新聞サンデー版より)
※この記事は、中日新聞社の許諾を得て転載しています。
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