マイティラインとは

石川翔にとってのうれしい気遣い

    • 2019年06月23日(日)
    • ドラ番記者プラール

胸板が分厚くなっていた。「ほんとですか。トレーニングの成果が出てきましたかね」。声の主は石川翔。3月末に右肘の形成手術を受け、リハビリを続ける2年目右腕の体は体重が2キロ増え、たくましくなっていた。

今季、飛躍が期待されたところでの離脱。だが退院後も表情は明るいままだった。心を支えた要因の一つが失意の中で触れた先輩の温かみだ。

手術直後の病室。ひとり虚空を見つめていると外で会話が聞こえた。「ぜひ中に」と勧める看護師さん。その申し出を丁重に断っていたのは吉見だった。結局、お見舞いの品に芋けんぴだけ置いて帰ったそうだ。

だが石川翔にとってはうれしい気遣いだった。「開幕前の忙しい時期に来てもらったんですから。下向いてたらいけないなって」。近々キャッチボールを再開する予定。前だけを向いて、目指すは今季中の実戦登板だ。

(長森謙介)