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【コロナ対策】新聞で正確な情報を!夏のマスク 熱中症に注意

    • 2020年05月23日(土)
    • いいね新聞生活

5月に入り、最高気温30度以上の真夏日が各地で観測されている。新型コロナウイルスの感染を防ぐため、みんながマスクを着用し、外出を控える中で迎えるこの夏は「例年より熱中症の発症リスクが高い」と専門家は警鐘を鳴らす。熱中症による搬送が例年同様に多いと、人やベッドがそこに割かれ、医療体制をさらに圧迫することが懸念される。(小中寿美)

喉の渇き気づきにくい 外出控え暑さに慣れず

医師らでつくる啓発団体「教えて!『かくれ脱水』委員会」(東京)が1日に発表した緊急提言。その中で「マスクをすると、喉の渇きに気づきにくい」と指摘した。マスク内の湿度が上がることが理由だ。一方で、新型コロナの特徴が明らかになるにつれ、マスクの重要性は増している。専門家会議が4日に示した「新しい生活様式」も、外出時、屋内にいる時や会話をする時は、症状がなくてもマスクを着けるよう求めている。

ただ、熱中症対策を考える場合、長時間のマスク着用は注意が必要だ。同委員会副委員長で、済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜さん(54)によると、喉の渇きを感じにくいことに加え、顔を中心に熱がこもりやすい。もともと喉の渇きに気づきづらい高齢者は知らぬ間に脱水が進むこともあり得る。例年以上にこまめな水分補給を意識することが大事だ。

例年より水分補給 意識して

水分を取る際、マスクの表面にはウイルスが付着している可能性があるため、手でつかんであごまで下げるのはNG。マスクを取るのが理想だが、面倒なら片方のひもを外せばいい。ただ、谷口さんが心配するのは「人が周囲にいるとマスクを外してはいけないという心理が働いて、水分補給を避けてしまう人もいるのではないか」という点。そんな時は「マスクの下の隙間からストローを差し入れて飲むのも一案」という。

外出自粛が呼び掛けられている今年は、体が暑さになれていないことも懸念材料だ。例年なら、気温が上がる春から夏にかけて外に出る中で、体の機能が暑さに順応し、汗をかいて体温を下げるといった対処ができるようになる。また、筋肉には水分をためる役割があるが、自粛生活で筋肉の量が減っている可能性も。窓を開けて外気や日差しに触れたり、室内で軽い運動をしたりして夏本番に備えよう。今のうちから朝夕など涼しい時間帯に散歩に出ることも対策に役立つ。

熱中症を発症しやすいのは、1日の寒暖差や前日との気温差が大きい時だ。例年は梅雨の前後から救急搬送が増える。消防庁によると、昨年5~9月に熱中症で搬送された人は全国で71,000人。猛暑だった一昨年は95,000人に上った。毎年、高齢者が約半数を占めるほか、搬送後に入院する人は3割を超え、退院までに3週間以上かかる重症例も少なくない。

大勢の患者が運ばれてくれば、医療現場には今以上に負荷がかかる。谷口さんによると、症状には、倦怠感や発熱、頭痛など新型コロナと共通する点もある。「患者が搬送された際に新型コロナを疑って対応する例も増えるのでは」と、現場のストレスを心配する。さらに、運ばれてきた人が感染していれば院内で感染が広がる危険もある。

水分摂取やエアコンを活用するなどしても熱中症を疑う症状が出た場合は、重症化や病院への搬送を避けるため、早めの対処が大事だ。同委員会は、涼しい場所に移して体を冷やすとともにマスクを外し、意識がはっきりしていれば経口補水液を飲ませるよう勧める。

(2020年5月19日付中日新聞朝刊より)※この記事は、中日新聞社の許諾を得て転載しています。
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