マイティラインとは

「チュースク」

    • 2021年04月23日(金)
    • いいね新聞生活

中日新聞の紙面で時々、「チュースク」という言葉を見かけるようになりました。チュースクとは、中日新聞が学校教育用に配信するニュースサイト「中日新聞@School」の愛称です。

国は、情報通信技術を学校現場に導入する「GIGA(ギガ)スクール構想」を掲げ、2020年度中に全国の小中学生900万人全員に1人1台ずつ、デジタル端末を配備しました。一部の自治体を除き、4月から大半の小中学校でタブレットなどを用いた授業が始まっています。

生まれたときからスマホやパソコンが身近にあり、デジタルに慣れ親しんでいる小中生世代にとって、端末の操作はお手のものでしょう。問題は、それを教育現場でいかに活用するかです。計算ドリルの代わりに、インターネットで調べ学習に、発表の資料作りに・・・と、教育委員会や学校が活用法を考える中で浮かんだのが、ニュースの利用でした。ニュースといえば、何といっても信頼がおけ、国内外はむろん、地域情報も充実している新聞です。

名古屋市教育委員会と中日新聞社は昨年10月、小中生向けニュースサイトの制作、運営で連携する協定を締結。その後、岐阜市、静岡県の浜松市、湖西市とも同様の協定を結びました。初年度は計約20万人に無料で提供します。サービスは今月から始まっており、名古屋市では、読み仮名付きの記事を一日3~4本、写真や動画も一緒に配信しています。

4月15日付の中日新聞朝刊「学ぶ」面に、先行して1月下旬から約一カ月間、チュースクをお試し使用した名古屋市内の小学校と中学校の2校の様子が紹介されていました。矢田小5年2組の社会の授業では、チュースクからバレンタインデー関連の記事を選び、記念日の由来、時代による変化、食品ロス問題の三点について考えました。一覧機能を使って周囲の意見とも見比べることができます。「男子と女子ですごく意識の差がある」など多くの意見が出たといい、授業後に児童の一人は「世の中で今起きていることをみんなで考えるのは楽しい」と取材した記者に話しました。

丸の内中学校では毎朝、朝の会が始まるまでの20分間を「チュースクの時間」として、タブレットでニュースをチェックし、気になった記事と感想を紙のシートに書き込みました。3年の女子生徒は言います。「これまでテレビの芸能コーナーしか見ていなかったけど、習慣化するとニュースに興味が湧き、積極的に深く調べるようになった」と。

デジタル端末の一斉導入は、日本の学校の授業風景を一変させることでしょう。これを機に、子どもたちがチュースクを利用して社会の仕組みや課題を知り、自ら解決する力や生きる知恵をつけていってもらえるなら、新聞社で働く人間としてうれしい限りです。(有)