ボロボロになった本から、橋本の努力の一端が伝わった。9月7日のウエスタン・リーグソフトバンク戦(ナゴヤ球場)で自己最速の155キロを計測。4月中旬に着手したフォームの改良が実った1球だった。

今季は5月30日のソフトバンク戦(ペイペイ)で3者連続死球を与えて「どん底を見た」。ひどく落ち込んだ時期を脱してファームで安定感を取り戻すと、終盤に1軍再昇格。プロ初勝利も挙げたが「同期の岡林が逆転打を打ってくれたから」と謙虚だった。

もがき続ける中でフォーム改良に役立てたのは、大塚投手コーチに薦められたピッチングメカニズムに関する2冊の本。本人によると、読書は苦手なタイプ。それでも「いつでも読み返せるように」と今でも持ち歩く実物を見せてもらうと、角が擦り切れるまで読み込んだ跡があった。来年は、橋本の笑顔をもっと見たい。

石曽根　和花