12日の西武とのオープン戦の試合前。ベルーナドームのグラウンドに足を踏み入れた藤嶋の表情は緊張感に満ちあふれていた。

「昨年のことがあるのでね」。1年前の3月9日は今年と同じくベルーナでの西武戦だった。6回2死三塁で2番手として登板した藤嶋は一塁線の緩いゴロを処理しようとマウンドを降りていった。しかしここで一塁手と見合う形になり、バランスを崩して転倒。右太ももの肉離れと診断され、開幕を2軍で迎えることになった。

「（転んだところに）お清めの塩をまいておきたいくらいです」と話していた2日間は無事に終わった。「登板はなかったですけど、ランニングの一歩一歩、キャッチボールの一球一球、すべてに緊張感を持って過ごしました。無事終わって良かったです」。すっきりした表情でチームバスに乗り込んでいった。

土屋　善文