【レポート】酒井邦嘉教授 講演会「読書は脳を創る」
言語能力を鍛えるには「聞く・読む」「話す・書く」ことが重要
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- 2024年08月14日(水)
- イベント
講師の酒井教邦嘉教授
2024年6月22日にバロー文化ホール(多治見市文化ホール。岐阜県多治見市十九田町)で、言語脳科学を専門とする東京大学大学院の酒井邦嘉(くによし)教授による「読書は脳を創る」をテーマに講演会が、中日新聞主催で開催され、約300人の聴衆が集まりました。その講演内容を紹介します。
◇読書は多読より能動的な再読が重要で、紙の本や新聞、雑誌を読むことは、電子書籍とは違い製本されているカバーや装丁などページの手がかりが豊富で繰り返し読むには最適、一覧性にも優れています。
ネットで検索しなくても、脳はキーワードを探し出すことができます。考える前に検索する習慣は、想像力を奪ってしまう。
言語能力を鍛えるには、「聞く・読む」という想像力を適度に入力し、「話す・書く」という創造力をできるだけ多く出力することが重要です。
◇生成AIという言葉は「合成AI」というべきで、対話型ではなく、「対話風」なだけで、子どもたちがAIにほめられて自己肯定感を増幅してしまう危険性をはらんでいます。オウムとAIは一緒なのです。
質疑応答では、視力低下により本の文字を読むことが困難で、朗読本を聞いている方からの質問に、「脳科学的には視覚、手話、音声どれで入っても最終的にたどり着く所は全く同じ場所です」と酒井教授が答え、他に子どもに対する読み聞かせの重要性など、活発で有意義なコミュニケーションの場ともなりました。
会場入り口では、多治見市図書館が出張図書館「お図届け便(おとどけびん)」で約200冊の本を並べ、講演会の関連本など、参加者に好評でした。
文・安達正子
撮影・森井直美
会場の様子
出張図書館「お図届便」
(Adachi Masako)
月刊紙『マイタウンとうと』編集長。東京都出身。短大卒業後、証券会社で営業、新聞社系出版社で編集を経験。子どもが小さいときは時間で終わる公的機関でパートをし、その後編集復帰。カルチャーもスポーツも何でも興味が湧いたことには直接足を運び、自分の目で見ることを心掛けています。一方、家で過ごすのも大好きで、週末は家から一歩も出たくない気分の日もたびたび…。