先日、侍ジャパン・井端監督へ電話した。きっかけはとある少年野球チームからコーチ就任の依頼がきたから。

チームから「基本を伝えて」と言われた。記者は考えた。基本とは何か。豊富なキャリアを持つ元プレーヤーが現役最後に大切にしていたことではないか。ならば、大したキャリアの無い記者はコーチ不適合者だろう。

電話の向こうの井端監督は笑っていた。「考えすぎ。確かに、基本はキャリア最後に気付いたこと。そういう意味では基本であり極意。でもな、少年野球は基本中の基本を教えたらいいんだよ」

少し気が楽になる。井端監督が巨人コーチ時代、記者は指導の実験台だった。選手をコーチする前の模擬指導の対象。右利きは右足に重心をかけて捕球する、ボールとのタイミングが合わなかったら膝の力を抜けば全身の力が抜けてグラブが出ることなど、身をもって体験した。その内容を伝えれば十分という。

「野球を好きなまま中学へ送り出してね。広い意味で球界のメンバー。頑張って」。そのメッセージに「やれることをやります」と頭を下げて電話を切った。

川本光憲