新型肺炎とデマ
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- 2020年03月09日(月)
- いいね新聞生活
2020年2月月下旬、高校時代の同級生からこんなラインが届きました。「コロナウイルス対策の最新情報が届きましたので公開します。武漢診療所に派遣された医師から送っていただいた貴重な情報です。できるだけたくさんの人が知るべき内容なので拡散希望します」。
見ていくと、コロナウイルスと風邪の簡単な見分け方と防止策として、以下が挙げられていました。
●「風邪をひいたときは鼻水と痰があり、コロナウイルス肺炎は鼻水のない乾いた咳をします」
●「今回の武漢ウイルスは耐熱性がなく、26~27度の温度で死にます。そのためお湯をたくさん飲む、お湯をたくさん飲ませれば予防できる」
●「陽射しの下に行ってください」
さらに医師の助言、肺炎の症状、予防について、こと細かく書かれていました。
同級生はこれらの情報を「元医療従事者」である自分の姉から得たようです。ちょうど国内では、新型肺炎の感染者がクルーズ船内から全国各地へと拡大し始めた時期。同級生もお姉さんも「有用な情報だから、肉親や友人知人にも伝えなくては」と純粋に善意でラインをしてきてくれたのでしょう。
ただ私はこの情報を目にしたとき、すぐにデマだと思いました。実は前日、妻のラインにも別ルートで同じ文面の情報が届いていました。情報の出所がよくわからないし、お湯を飲んで感染防止できるなら、とっくに政府や医療機関が発表し、新聞やテレビで報道されているはず。でもこの間、私も妻も見聞きしていません。
もっとも同級生からは、その日のうちに「デマらしいです。申し訳ありません」とおわびのラインが来ました。デマは、悪意よりはむしろ、善意ゆえに広がるのでは、と感じた一件でした。
事実を伝えることが大原則である新聞は連日、新型コロナウイルスに関するデマへの注意を紙面で呼びかけています。中日新聞は2020年3月6日付朝刊社会面で、巷に出回っている主なデマと実際について列挙していました。
◆「花こう岩には殺菌作用がある→体内のウイルスには影響せず、効果はない」
◆「熱に弱く、26~27度のお湯に殺菌効果がある→人間の体内の温度より低いため、殺菌効果はない」
◆「鼻水と痰が出る場合はコロナウイルスではない→鼻水と痰こそが初期症状」
◆「トイレットペーパーは中国で製造され、原料はマスクと同じ→98%国内産。原料もパルプで、主に化繊を使うマスクと異なる」
〝デマウイルス〟はネットやSNSを通じて一気に拡散します。そのスピードはコロナウイルスより速く、実体以上に不安を煽る威力があります。こんな時こそ、記者が多角的に取材し、編集サイドでも幾重ものフィルターにかけて掲載する確実な新聞記事を判断の拠り所にしてほしいのです。(有)
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