【コロナ対策】新聞で正確な情報を!コロナとAI ビッグデータの挑戦①「CTの活用」
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- 2020年06月20日(土)
- いいね新聞生活
治療記録の蓄積 生かす研究進む
新型コロナウイルスはあっという間に世界に広がり、これまで600万を超す人が感染しました。治療の記録はどんどん蓄積され、新型コロナに関する情報が日々インターネット上を飛び交います。こういった膨大なデータを人工知能(AI)などで分析し、この手ごわい感染症に対抗しようという動きが出てきました。(永井理)
肺炎の症状 素早く判断
2020年3月の初めごろ、発熱が続いて病院に行くと、肺炎がないかコンピューター断層撮影(CT)で調べると言われました。「ウィンウィンウィン」。検査台に横になると、装置が小さなうなりを上げて体をスキャンしていきます。わずか1、2分。デジタル撮影された画像はすぐに医師に届きます。「異常ありませんね」。およそ3分後には結果を聞きました。
「入院時に症状がない感染者の中で、CTを撮ってみると新型コロナの肺炎が見つかる例が6割ほどありました。PCRより速く新型ウイルスの感染が判断できるのではないか」。50人近い新型コロナウイルス感染者の治療を担当した東京都内の総合病院の医師も話します。
遠隔で診断
CTの画像を基にした新型コロナウイルス感染症の診断を、AIを使ってより早く的確にできないか-。遠隔画像診断サービスのドクターネット(東京都港区)では、中国の医療用AI開発会社インファービジョンと共同で、新型コロナの遠隔診断サービスの技術開発に乗り出しました。CT画像を送って、専門の医師に診てもらう仕組みです。
AIは、武漢を中心にした数1,000人の感染者の肺炎の画像を学習させて開発されました。学習を基に、肺の中に白っぽく見える「すりガラス状陰影」や、さらに濃い影「浸潤影」などを読み取り、新型コロナウイルスによる肺炎かどうか判断するといいます。
診断に使うには法律での承認が必要です。中国で開発されたAIなので、日本人の症例にもあてはまるかテストしている段階だといいます。「大きな流行が来るかもしれないと言われる冬に間に合わせたい」と同社の長谷川雅子社長。「中国だけではなく、韓国で開発されたAIも使う予定。世界のテクノロジーを取り入れていきたい」と話します。
世界一だが
こういったサービスが期待される背景には、日本の特殊な事情があります。日本はCT装置が多い国です。人口当たりの台数は世界で断然のトップ。2位のオーストラリアの2倍近くあります。
しかし、撮影した画像から診断する専門医の数は少ないのです。CT装置の多い環境を生かしきれていないと言えるかもしれません。新型コロナは新しい感染症なので、診断を経験した医師がまだ多くないという事情もあります。
富士フイルムでは、新型コロナ肺炎の診断を助けるAIを開発中です。CTでは多い場合は1回の検査で100枚を超す画像が撮影されます。多量の画像を医師が詳しく見るのはなかなか大変です。
そこでAIが画像を読み取って、肺を12の領域に分けて、すりガラス状陰影などの病変がどこに多く見られるかを読み取り、その割合を数字にしてグラフなどで示します。肺の画像を立体的に再現し、炎症部分の体積を割り出すこともできます。
「症状が進んでいるかどうか、数値を基に定量的に判断できる」といいます。
CT装置を多く持つ日本。情報技術(IT)を活用することで、その利点をもっと生かせるかもしれません。
(2020年6月8日付中日新聞朝刊より)※この記事は、中日新聞社の許諾を得て転載しています。
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