延長12回で4時間44分の激闘となった7月5日の巨人戦（バンテリンドームナゴヤ）。支配下契約をつかむ前の樋口は現地で観戦していたという。

シーズンが始まってから、1軍の試合を生で見たのはこの1度きり。自身は翌日の2軍戦に備えて途中でドームを後にしたが、わずか数時間だけでも身が引き締まる思いになった。「一つ一つのプレーで歓声が上がるじゃないですか。あれを見た時にやっぱりこの舞台でやらないと意味がない、ここでやらないといけないとは思いました」

月末の期限が迫り、当然焦りは感じていた。「1軍で試合に出ないとプロに入ったとは言えないです。だから今は頑張るだけです」。そう語っていた7月中旬。現地観戦から約1カ月後の本拠地には、背番号97で懸命に練習する樋口の姿があった。夢舞台で思う存分暴れるしかない。

土屋　あいり