マイティラインとは

「ニューノーマル」こそ新聞を

    • 2021年01月06日(水)
    • いいね新聞生活

世界中がコロナ禍に覆われた2020年。年末時点で8,000万人を超える人が感染し、200万人近い人の命が奪われ、社会的にも経済的にも多くの国々がダメージを受けています。国内では花粉症の季節に目にしていたマスク姿が一年中になり、手指消毒のボトルがあちこちに置かれ、企業では在宅勤務やオンライン会議が一気に進みました。日常生活は「ニューノーマル」と呼ばれるようになりました。

 通常、人はおしゃべりをしたり、一緒に食事をしたり、膝を突き合わせて仕事の打ち合わせをしたりして、コミュニケーションを取っています。直接会うことで、相手の思いや場の雰囲気を感じ取ります。それがコロナ禍で、なるべく人同士が接触せず、画面を通じてやり取りする「間接」が推奨されるようになりました。当たり前だった行動様式に大転換が生じたわけです。

 そんな中、博報堂DYメディアパートナーズという会社が、コロナ禍における「メディアニューノーマル調査」というネットでのアンケート調査を行い、昨年11月下旬に結果を発表しました。それによると▽リモトワークやキャッシュレス決済といった生活のデジタルサービスが全世代に拡大した▽若者層がけん引してきたスマホ行動が高齢者層にも広がっている-といった傾向が分かりました。

 特徴的なのは、若年層の過半数が自身のメディアに対する意識の変化を感じていることです。10代の52.5%が「コロナ禍前と比べてメディアの接触に変化があった」と回答。特に10代の女性の54.0%がコロナ禍で「メディアの重要性」をあらためて感じ、76.0%が「メディアの伝えることの信頼性がとても気になる」と答えています。いずれも全体の年代に比べ15ポイントほど高い値です。

 10代女性といえば、時代や社会の変化に最も敏感な世代。今やファッションや雑貨、食べ物はじめ、彼女たちの評判やニーズが消費動向を左右するといっても過言ではありません。スマホ社会に生まれ育ち、日々膨大な情報に接している彼女たちが、今必要と感じているのは「信頼のおける情報」なのです。不安な生活を送る中で、安心できるための拠り所が欲しいと。

 ネット全盛の昨今であっても、最も信頼度の高いメディアは新聞です。それは、メディアに関する各種調査で裏付けられています。事実を伝えることが新聞の最大の使命であり、そのために日々、記者がどれだけの労力を費やしているかを知る身からすれば当然です。

 10代女性のアンケート結果は、新聞を必要としているのは主読者層である熟年高齢層だけではない、ということを示してくれています。「若い人は新聞を必要としていない」と決めつけてはいけないのです。(有)