「鬼滅の刃」現象
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- 2021年02月13日(土)
- いいね新聞生活
2021年2月2日は、例年より一日早い「節分」でした。「コロナを追い払おうと、いつもよりたくさん豆をまいた」なんていう方もいたのではないでしょうか。
さて、今や「鬼」といえば「鬼滅の刃」。「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が2020年10月16日に公開されて以来、12月末に国内興行収入が324億円に達し、あの宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」を抜いて歴代一位になりました。300億円突破までに「千と千尋」は253日かかかったのに対し、「鬼滅」は59日といいますから驚異的なスピードです。
ここにきてやや落ち着いてきているようですが、2021年2月1日発表時点で、国内観客動員数は2,688万人、興行収入368億円。単純計算すると、公開以来3カ月半で実に国民の5人に1人が映画館に足を運んだことになります。このコロナ禍にもかかわらず。
ご存じのように、「鬼滅の刃」は吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんという漫画家の作品で、2016年2月~20年5月に週刊少年ジャンプに連載されました。2019年4~9月にテレビアニメ放送で人気に火が付き、映画化により爆発的なヒットとなりました。
この間、各種メディアは興行記録やグッズ、コラボ商品など波及効果の報道に加え、新聞や雑誌は社説や論評で「鬼滅」が社会現象化した理由の分析を試みてきました。2020年12月30日付朝日新聞の社説は「努力、成長、友情、家族愛など普遍的なテーマが幅広い世代に支持された。(中略)ヒットの理由はさまざまに語られる。なにかひとつの決め手があるわけでもないだろう」としながらも、「全編をつらぬく無常感が2020年の時代状況と響き合ったことは見逃せない」「現実が、家族や仲間のため、困難な状況でもまっすぐに生きようとする物語の世界と共鳴し合ったようにみえる」と記しました。
2021年1月12日付毎日新聞の社説は「当たり前だと思っていた日常をコロナが覆したことで、図らずも作品世界が今を照射することになった」「鬼に立ち向かう主人公や仲間たちの『心を燃やせ』『歯を喰いしばって前を向け』といったストレートなセリフの数々が共感を呼んだのだろう」と指摘しています。私もコミック23巻を読み通し、アニメを見る中で、苦難に遭いながらも、ひたむきに生きる炭治郎少年に人間の「真っ当さ」を感じ、心洗われる思いがしました。
作者の吾峠さんが連載を始めたのは2016年ですので、コロナ禍を想定して描いたわけではありません。が、今となっては、作品は未来を予見したものとなりました。漫画に限りませんが、社会現象になるような傑出した作品とは、そういうものかもしれません。
鬼滅に関する話題といえば、コミック版出版元の集英社が2020年12月初めに全国紙5紙(読売、朝日、毎日、産経、日本経済)に展開した全面広告が大きな反響を呼びました。4日朝刊の広告では、主要キャラクター15人が各紙3人ずつ、派手に登場しました。中日新聞の読者も見たかったことでしょう。でも、全国紙でないために残念ながら載りませんでした。東海地域では中日新聞の読者が圧倒的に多いのに…どんなリサーチしているの?と、集英社や広告代理店を恨めしくも思いました。(有)
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