【コロナ対策】新聞で正確な情報を!/学ぼう!ワクチン「新型コロナと闘う」㊦
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- 2021年03月11日(木)
- いいね新聞生活
副反応は? 因果関係が鍵 情報見極めて
ワクチンの接種翌日に脳卒中で倒れたら? それは、副反応か、それとも偶然か。
もしかすると持病があったかもしれないし、普段の薬を飲み忘れたのかもしれない。ここから言えるのは「副反応の疑いもある」ぐらいだ。
こうしたケースを含め、接種後に起きた好ましくない医療上の出来事は「有害事象」と呼ばれる。含まれる事例は、明らかに接種と因果関係があると見込まれる副反応より多い。新型コロナウイルスのワクチンについて考えるとき、有害事象と副反応をごちゃまぜにすると、正しい評価ができないため注意が必要だ。
ただ、病原体などを体に入れる以上、副反応のリスクがゼロのワクチンはない。二回の接種が基本の米ファイザー社製の臨床試験データでは、接種部位の痛みが84%、疲労感が63%、頭痛が55%の人に出たなどと報告された。発生率はインフルエンザのワクチンより高いが、多くが数日で治まっている。頻度は一回目より二回目の方が高い。
一方、昨年末から接種が始まった米国の疾病対策センター(CDC)によると、20万回に一回の割合で急性の重いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起きている。これも100万回に一回程度のインフルエンザに比べれば高いが、症状が出た人の80%は過去に何らかのアレルギーを指摘されていた。
新型コロナワクチンは、肩の辺りに注射針を垂直の角度で突き刺す筋肉注射だ。日本のワクチン接種は、斜め30度ほどの角度で皮膚に浅く針を刺す皮下注射がほとんど。筋肉注射は、皮下組織の下にある筋肉に投与する。
なじみが薄いだけに、不安から接種後に気分が悪くなるといった例もあり得る。名鉄病院(名古屋市)の予防接種センター長、菊池均さん(57)によると「針を刺した時の痛みは皮下注射と変わらない」。ただ、投与する液体の刺激などによって、強めに痛みを感じる場合もあるという。
非常にまれだが、新型コロナワクチンはできて間もないため、接種後、日にちがたってから現れるような副反応が後に判明する可能性はある。国は、ワクチンを打った人に副反応と疑われる症状が出れば随時、公表する。先行摂取する医療従事者のうち、一万~二万人を追跡調査した結果も明らかにする予定だ。
19日現在、接種率が50%近いイスラエル。20%弱だった一月上旬には、一人が何人に感染させるかを示す実効再生産数が1.3台だったが、0.7程度まで減った。感染者、死亡者も減り始めている。疫学が専門の名古屋市立大教授の鈴木貞夫さん(60)は、移動を制限する国全体のロックダウン効果にも触れた上で「ワクチンの効果を否定することは起きていない」と分析する。
「打つ」「打たない」は、国や自治体の情報などを見て自分で決める必要がある。感染を防ぐ効果が確実でない現状では、無症状のまま周囲にうつすことがないよう、接種後もマスク着用や三密回避などは欠かせない。日本ワクチン学会理事で藤田医科大教授の吉川哲史さん(59)は言う。「感染して重症化するリスクと副反応、そして感染拡大が生活や社会に与える影響をよく考えて判断してほしい」
(令和3年2月25日付中日新聞朝刊より)
※この記事は、中日新聞社の許諾を得て転載しています。
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