マイティラインとは

【コロナ対策】新聞で正確な情報を!/コロナ深知り!㉓「デルタ株の感染を防ぐには?」

    • 2021年09月16日(木)
    • いいね新聞生活

不織布マスクピタッと密着を

新型コロナウイルスの感染力が強い変異株「デルタ株」の流行がなかなか収まりません。感染を防ぐには、空気中を漂う飛沫に含まれる形で吸い込むウイルスの量をできるだけ減らす対策が必要です。専門家は「まだやれる対策がある」と、効果の高い不織布マスクをうまく使うことをあらためて呼び掛けます。(増井のぞみ)

飛沫ブロック狙う隙間あると効果減

✔性能差

理化学研究所などの研究チームは6月、市販のマスクの性能実験の結果を発表しました。メンバーの豊橋技術科学大の飯田明由教授が、人間の呼吸のように飛沫を吹き出すマネキン形の実験装置にマスクを着け、どれだけ飛沫を捕集できてどれだけ漏れるか、を実測しました。

同じ素材でも製品によって性能の幅があるので、各素材ごとに10~60種類の製品を調べて平均値を出しました。

その結果、不織布マスクは吹き出しの8割、吸い込みの7割を抑えました。しかし、鼻の部分に形を合わせる針金を折り曲げずにマスクを着けて、鼻との間に隙間ができた「ルーズ」状態の場合は、折り曲げて隙間がない「フィット」より効果が1~2割下がり、布マスクに近い値になりました。

またウレタンマスクは、吹き出しを5割抑えましたが、吸い込みは2割にとどまりました。

✔W字型に

チームリーダーの坪倉誠・神戸大教授は「ウレタンの性能が低いのは事実。不織布マスクは捕集性能がよいが、顔との隙間があると、空気が漏れて性能が出ない」と話します。着ける前に鼻の針金をW字型に曲げるのがポイント。そのうえで鼻、ほお、あごを隙間なく覆います。坪倉さんは「ピタッと密着させられるなら不織布がいい」と言います。

国立病院機構仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一さんも2月、マスクの性能の実験結果を発表しました。マスクの素材で上部を覆った筒の中へ空気を吸い込み、飛沫をどのくらいの割合で除去するか計測しました。調べた製品では、不織布は飛沫の9割以上の吸い込みを抑え、ガーゼやポリウレタンはやはり性能がかなり下がりました。

「不織布マスクで性能表示が、PFE(微粒子ろ過効率)とBFE(細菌ろ過効率)がいずれも95%以上のものなら、まずは大丈夫ではないか」と西村さんは話します。

夏は過ぎましたが、マスクがつらいと感じる暑い日も。西村さんは、マスク着用の留意点を「散歩などで周りに人がいない時は外し、人のいる場所ではビシッとつけてメリハリをつけること」と語ります。

新学期が始まった子どもに、どのマスクを着けさせたらいいでしょうか。小児科医の森内浩幸・長崎大教授は「大人用の不織布マスクを着けた上に、子ども用のウレタンマスクを重ねてフィットさせることを勧めている」と話します。坪倉さんは「ぴたりと着けるのが難しい子どもの場合は、ぶかぶかの不織布マスクを着けるより、顔に合った形の布マスクを着ける方がよっぽど効果がある」と指摘します。

また、坪倉さんが「いまも街中で鼻を出してマスクをする人を見掛ける。マスクはきちんと着けることが大事」と強調します。デルタ株は、従来株より少量で感染を引き起こすといわれます。

吸い込むウイルスの量を抑えることが感染を防ぐ大きなポイントです。マスクを上手に着用することが個人で確実にできる対策といえます。

理研チーム制作の動画「つけ方次第で効果が上がる!マスクのより良いつけ方」は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で見られます。

(令和3年9月6日付中日新聞朝刊より)※この記事は、中日新聞社の許諾を得て転載しています。

※緊急事態宣言も延長となりましたので引き続き感染予防にご注力を。日々の状況は新聞でご確認いただきながら、くれぐれも感染予防に努めて下さい。