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【コロナ予防】新聞で正確な情報を!/新型コロナQ&A【抗体カクテル療法】効果と運用状況

    • 2021年09月27日(月)
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重症化抑え速やかな症状改善

新型コロナウイルス患者の重症化予防に取り入れられ始めた「抗体カクテル療法」。その効果や岐阜県内での運用状況をお答えします。(浜崎陽介)

 どんな治療薬ですか。

 二種類の中和抗体を混ぜた「ロナプリーブ」という液状の薬を点滴で投与します。薬を混ぜるのでカクテル療法と呼ばれます。

抗体がウイルスの突起部分にくっつき、人の細胞に結合させないようにするとともに増殖を抑えることで、症状を緩和します。

 どのような効果が出ていますか。

 海外の報告では、薬を使っていない人の重症化率は3.2%でしたが、投与した人は1%ほどに減少しました。

症状がなくなるまでの平均期間も14日から10日に短縮。国内では投与した人の約8割が速やかに症状が改善したというデータもあります。

 どのような人に投与していますか。

 酸素投与を必要としない、発症から7日以内の軽症者か中等症Ⅰの患者です。

県内では50歳以上あるいは、高血圧、肥満者、糖尿病などの基礎疾患がある重症化リスクの高い人に投与しています。

 7月中旬から入院患者に使えるよう国が承認し、8月下旬からは外来患者にも可能になりました。

県内では、外来診療で投薬を受ける人を保健所が調整。問診と健康チェックを受け、点滴は30分ほど、1時間の経過観察をへて、問題がなければ宿泊療養施設に移ります。

笠松町の松波総合病院では30人ほどに投与しましたが、症状は改善しており、重症化した例はありません。

 副反応はありますか。

 発熱や悪寒、吐き気、目まいなどの症状が0.2%程度報告されています。

重篤な状態になるアナフィラキシーショックのリスクは極めて少なく、安全性の高い薬といえます。

 現在の供給体制は。

 コロナ治療薬として米国のリジェネロンとスイスのロシェが共同開発し、国内では中外製薬(東京)が販売しています。

供給量はまだ少なく、1日に投与できる人数には限りがあります。供給量が増えることが期待されますが、ワクチンを行き渡らせて発症そのものを予防することも重要です。

(松波総合病院の鶴見寿病院長代理への取材などから構成)

(令和3年9月10日付中日新聞朝刊より)
※この記事は、中日新聞社の許諾を得て転載しています。