ランニングするフォームに見覚えがあった。「おはようございます」と声をかけた記者は「ん？誰や！」という視線を送られた。引き下がれない。大きめの声で「おはようございます」と繰り返して、笑顔を引き出した。

先日、名古屋市内を運転していた。公道を走っていたのは大西外野守備走塁コーチ。午前中、早い時間に家を出てひとっ走り。心身ともにリフレッシュしてからバンテリンドームナゴヤへ行き、試合への準備を整えるという。

巨人のコーチを務めていた2018年まで、東京都内で単身赴任していた。そのときは、皇居一周を日課にしていたのだとか。「たまには走ってみいや。気持ちいいで」とのこと。「いや、ちょっと…。ランニングは大西さんに任せます」。ここはあっさり、引き下がった。もうすぐ40歳。またひとつ、減量のきっかけを自ら手放した。

川本光憲