9月上旬のことだった。記者はナゴヤ球場で笠原と会話した。その際、思わず聞いてしまったのが「次いつ投げますか？」だった。答えは「決まってないです」。さらに左腕はこう続けた。「この時期に決まってないのはそういうことですよ」

今季までの3シーズンで1勝。「そういうこと」の意味は容易に想像できた。するとさらに「誰かが見ていると思ってやるしかないです。今年から現役ドラフトも行われて、もしかしたらあるかもしれないですから」と語った。その表情はどこか吹っ切れていたようにも感じた。その後の笠原は、遠征にもほとんど同行せず、ナゴヤ球場で汗を流し続けた。

9日に実施された現役ドラフトでDeNAへの移籍が決まった。新制度で得た再起のチャンス。もう一度マウンドで躍動してほしい。

芦原　遼