沖縄キャンプから名古屋へ戻る飛行機はチームと同便だった。そして中部国際空港駅のホーム。見知らぬ男性からすれ違いざまに色紙を出されて「サインしてください」とお願いされた。

周囲を見渡すと選手も何人かいた。確実に誰かと間違えている。これはもう間違いない。「いや、僕は選手じゃないんです。すみません」。そんな様子を後ろから見ていた小笠原から「サイン断るなんてひどい」と笑顔で突っ込まれたが、勘違いしたまま42歳一般人のサインをもらっても、この男性もうれしくないはず。これで良かったと思ったが…。

その直後、もう一度駆け寄ってきて再度お願いされた。記者は181センチ。88キロ。確かに体格は良い方です。でも、違うんです。選手じゃないし、ただの記者のおじさんです。説明しても信じてもらえない表情だった。ただただ申し訳ない気持ちになるとともに、誰と間違えているのか聞いておけば良かった。

土屋　善文