「Congratulations!」。先日のWBC決勝を終えた後、米フロリダ州マイアミの町を歩くと、現地の方数人に声をかけられた。うれしかった反面、複雑な気分にもなった。祝福してくれた人以上にこの言葉を聞いたからだ。

「え、WBC？何それ？」

日本でも叫ばれる野球の人口減少。アメリカでも同様だ。30代以下を対象とした調査で「野球が好きなスポーツだ」と答えた割合はわずか7％。不動の地位を築くアメフト、バスケに加え、サッカー人気も野球に猛追しているという。マイアミ滞在中に複数のスポーツショップに寄ったが、野球の用具を扱うコーナーは驚くほど狭かった。

現地の記者は「オオタニは野球人気回復の切り札なんだ」と話していた。今大会を通じて感じた野球の魅力。多くの人の心に届けたい、と改めて思う。

長森　謙介