昨年末に岡山県和気町の温泉施設で行われたドラフト1位・草加の激励会取材。入り口にいた草加の母・明美さんにあいさつを終え、本人の居場所を尋ねると「もう着いてると思うんですけど…。あの子、家から走って来てるので」と意外な答えが返ってきた。

自宅から会場までは6キロほど。久しぶりに地元の友人と顔を合わせる心安まるひとときでも、50メートルを5.8秒で走る脚力の持ち主は隙間時間にトレーニング。そのまま温泉施設でひとっ風呂浴び、激励会に臨んでいた。

同会に参加した創志学園高時代の恩師・長沢宏行さん（70）は「練習で走る時も手を抜いているそぶりがなかった。彼なら亜細亜の練習にもついていけると思っていたんですよ」と、厳しいことで知られる亜大に送り出した当時を振り返る。誰の目がなくとも厳しく自分を律する右腕の姿に、新シーズンでの期待が膨らんだ。

谷　大平