選手にサインを求めるファンが連日にわたって長蛇の列を作っている。人気選手のうちのひとりが梅津だ。大勢の人に囲まれる右腕を見ると、5年前のことを思い出す。

2019年春季キャンプの目玉はドラフト1位の根尾。けがで読谷スタートだった背番号7を見るために球場は人であふれ返っていた。一方、ドラ2の梅津の元には人はまばら。あるときは根尾が練習を終えると同時に人が球場から一気にいなくなり、数分後に梅津が引き揚げる際に残っていたファンは3人だったことも。それでも「え、僕でいいんですか」とうれしそうにペンを走らせ、写真にも納まっていた。

一人一人に掛けられる時間は短くなったが「ファンあってのプロ野球」という入団当初から持つ思いはそのまま。今よりも人気者となっても、右腕は変わらぬ思いを持ち続けるだろう。

長森　謙介