マイティラインとは

本屋と新聞

    • 2019年08月15日(木)
    • いいね新聞生活

夏真っ盛り。皆さんは多治見の暑い夏をいかがお過ごしでしょうか。

7月末の日曜日、多治見市本町のヒラクビルで開かれた「YONDAY ✕ ホホホ座」というイベントに参加してきました。ヒラクビルといえば4カ月前、老舗の「ワタナベ時計店」が、レトロな面影を残しながら書店、カフェなどの複合施設に改装され、新たな交流拠点として再出発した注目スポット。そこに、京都の「ホホホ座」という人気本屋さんが一日限りの出張開店をし、座長のトークショーもあるという。中日新聞に折り込みのマイタウンとうとの広告を見て、興味をそそられました。

座長の山下賢二さんは、もともと京都・左京区で営んでいた「ガケ書房」という個人書店の店主さん。紆余曲折しながらも、一般の書店とは一線を画した品ぞろえや見せ方でファンを少しずつ増やし、京都の名物書店として認知されるまでなったそうです。ちょっと見、「千の風になって」の秋川雅史さん似の山下さん。昼下がり、カフェに集った本好き(ほとんど女性)を前に、町に本屋があることの意味、地域住民が書店を守り育てていくことの大切さを、柔らかな京都弁で語ってくれました。

今は欲しい本がネットですぐに手に入る時代。確かに便利ですが、山下さんは、ネットで本を買うのと、書店に足を運んで買うのとでは違いがあると言います。書店にはさまざまなジャンルの本が並んでいます。書棚を巡っていて何気なく手に取った本をめくっているうちに、もっと読みたくなり、つい買ってしまった、という人もいるでしょう。特に山下さんのように店主の独特の感性や眼力で選ばれた本が並ぶ書店では、思わぬ本と出会える確率が高いような気がします。町の書店が未知の世界への扉となり、その人にとって新たな道が開けるかもしれません。

話を聞いていて、以前、このコーナーで紹介した「セレンディピティ」という言葉を思い浮かべました。「本来目的としていなかったのに副次的に得られる成果」という意味です。古今東西のニュースが隣り合っている新聞は、セレンディピティを得やすい媒体です。

話が終わり、本屋さんって似てるなあ…と思いながら席を立ったとき、同行の妻がつぶやきました。「新聞も書店と一緒ね」。わが意を得たり、とはこのこと。「そうなんだよ!」と、思わず妻に手を差し伸べました。長年夫婦をやっていても、どんぴしゃのタイミングで意見が一致するなんてことはそうはありません。これもセレンディピティだったのでしょうか…。 (有)