今でもその光景と驚きを鮮明に覚えている。高校1年生だった20年前の夏。地元のスーパー銭湯の脱衣所にあるテレビに幼なじみとくぎ付けになった。画面には夏の甲子園で熱戦を繰り広げる球児が映し出されていた。

「あれって本当に同じ1年生か？」。上級生に引けを取らない体格で異様な風格を漂わせるバッターボックスの1年生。16歳の中田翔だった。

初めて認識した同い年の全国区のスーパースター。菅野智之、丸佳浩、野村祐輔ら同じ89年世代でプロで活躍する選手はいたが、年齢を聞かれれば「中田世代」と紹介してきたのは高校1年の時の衝撃があったからだ。

昨年の春季キャンプ。先輩に付き添ってもらいあいさつすると、記者の体格を見て「同級生なのに情けないわ」と一言。大将にそう言われれば何も言えません。世代のトップランナー。本当にお疲れさまでした。

谷大平