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麒麟がくる

    • 2020年01月21日(火)
    • いいね新聞生活

2020年のNHKの大河ドラマ「麒麟がくる」が、いよいよ始まりました。ご存じ、主人公は「本能寺の変」で主君の織田信長を討った武将、明智光秀。昨年秋、ドラマで重要な役どころを演じる女優の薬物事件発覚で、急きょ代役を立てて撮り直しをしたため、2週間遅れの放送開始となりました。が、ドラマそのものへの期待度は、いつにも増して高いような気がします。

というのも、明智光秀は清和源氏の流れをくむ土岐氏の血筋で、美濃国が出生地として有力視されています。元日の新聞各紙では地元紙を中心に、光秀にちなんだ連載企画や舞台となる岐阜県内のゆかりの地を県内版や別刷りの特集で紹介していました。今月11日には、光秀ゆかりの可児、恵那、岐阜の3市で「大河ドラマ館」が同時オープンしました。今年は全国各地から大勢の人たちが足を運ぶことでしょう。

今回の大河ドラマの注目度が高いと感じるのは、放送をきっかけに光秀に対する世間一般の見方が覆されるのでは、という予感もあるからです。脚本を手掛けた池端俊策さんは、光秀について「『頭はいいが陰湿で、信長とそりが合わず、いじめられて最後は本能寺へ突人した』という人物像は、江戸時代の史料や信長側の人物が残した記述から来ている」と中日新聞の紙面で語っています。

まさに私を含め多くの人が抱いてきた光秀についての負のイメージ。でも人間形成された若い時分の史料はなく、生い立ちはよくわかっていないそうです。ひょっとしたら、逆賊の家系として後世まで被害が及ぶことを恐れた明智家側が、出自を含め光秀に関する事物を一切残さないようにしたのかもしれません。

いずれにしても、東西問わず記録に残る歴史は、時の権力者にとってのものであって、庶民がその舞台に登場することはほとんどありません。それを考えると、今はいい時代です。ちょっとした話題性があれば、一般の人の名前や写真が新聞に載ります。地域の話題や人をきめ細かく紹介する地方紙となれば、なおさらです。

数百年後、後世の人たちが「21世紀はどんな時代だったのだろう」とたどったとき、新聞のデータが残っていれば、私たちの暮らしぶりが手に取るようにわかるはずです。もっとも公文書が勝手に書き換えられたり、破棄されたり、とあきれるような公文書管理がなされているような国では、正しい歴史が後世に伝わっているか心配でもありますが…。(有)