マイティラインとは

オールドメディアの底力
新聞を見直そう

    • 2023年12月18日(月)
    • いいね新聞生活

新聞がなくなったらどうなる

新聞の発行部数は1997年をピークに、現在は3086万部、一世帯あたり1部を割り込み0.53部まで減少しています(*1)。減少の象徴的な出来事は2007年にスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」が発売され、情報はインターネットから無料で手軽にニュースを得られるスマートフォンの登場で、若者を中心に新聞離れが加速しました。
しかし、メディアとしての信頼は新聞が一番高く(*2)、新聞は法律で公正中立な報道をすることが義務づけられています。それでは、新聞がなくなったらどうなるのでしょうか。アメリカ・カリフォルニア州ベルは人口3万5千人ほどの小さな町で、貧困率が高く、1990年代に地元紙が廃刊、2003年ごろにはロサンゼルス・タイムズも近隣支局を閉鎖し、「報道の砂漠地帯」となっていました。その間に市長の給料は7万8千㌦(約870万)から約10倍の80万㌦と、当時のオバマ大統領より高いことが発覚しました。報道の監視がないため、市長は市役所、警察を抑え、偽情報しか公開していなかったのです。(*3)

新聞を読みましょう

中日新聞教育支援事務局の梅本秀基さんは、NIE(*4)の講義に出向くと「新聞を一度も読んだことがない」という学生がいて驚くそうです。「インターネットにはフェイク(偽)情報が多く、自分の見たいものしか見ないというところから視野が狭くなる。書店へ行くといろいろなタイトルの本が目に入ってくるように、紙の新聞を読むと新しい発見があります」と話します。
小中学校への出前授業では、「新聞を全部読む必要はない。興味のある記事だけで良い」「ゲームやアニメの楽しい記事も載る」「1日1本でも読めば、1年間で365本の知識がたまる」などと指導しています。NIE授業の活動により、新聞を読む世代が増え、社会的な関心が高まることを期待しています。

中日新聞教育支援事務局教育支援員 梅本秀基さん

(新聞雑学)
新聞最終面のテレビ番組欄。主にスポーツ番組で、横書きの文字の先頭を縦に読むと応援メッセージが隠されているときがありますので、見つけてみてください。

ラテ欄

しんぶん君

*1 日本新聞協会調べ(2022年)
*2 総務省(2021年)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」の「各メディアに対する信頼」で、新聞は信頼できる61.2%、半々くらい20.8%。
*3 共同通信(2017年3月9日)
*4 中日新聞NIE(エヌ・アイ・イー)とは、「Newspaper in Education(ニュースペーパー・イン・エデュケーション」の略称で、「教育に新聞を」と、新聞を教材として学校教育に役立てようという取り組みです。児童生徒に社会への関心を高めてもらうとともに、「情報を読み解く力」「考える力」「問題を解決する力」などを身につけてもらうことを目的としています。学校教育向けのニュース配信サイト「中日新聞@School(愛称チュースク)」も行っています。