マイティラインとは

企画展「-世界の巨人に挑んだ器(うつわ)たち-西浦焼-加納COLLECTION-」を開催(多治見市美濃焼ミュージアム)

    • 2021年04月22日(木)
    • イベント

凛と頭をもたげた一輪の芥子(けし)の花。アメリカのルックウッド製陶所は、1905年に雑誌の広告に、こんな代表作品を掲載しました。

一方、同じような雰囲気をまとった作品が、日本の西浦焼にもみられます。バランスのよい構図、やわらかな色彩、風に吹かれた花びらは、今にもめくれそうです。こうした生き生きとした作品に仕上げることができた西浦焼の職人の技術には驚かされます。

明治期、日本政府は殖産興業を展開し、万国博覧会に美術品を出品することを推奨していました。そんななか、日本の技術者は、ルックウッドなど当時世界をリードする、それまでの日本にはなかった美しいやきものを目の当たりにします。

「こうした作品を作りたい!」という強い思いが芽生えたに違いありません。

ルックウッドは1880年(明治13)に、アメリカのオハイオ州シンシナティに、地元の名士ニコルズ夫人により設立されました。きっかけは、1876年(明治9)のフィラデルフィア万国博覧会で見た、日本の精緻な陶磁器だといいます。そして、設立当時、社に招かれた日本人技術者、白山谷喜太郎が優れた作品を作り、その基礎を築きました。

今回加納コレクションの展示企画完結編として、世界の名窯、窯業界の巨人ともいえるルックウッドロイヤル・コペンハーゲンの作品を、西浦焼と対峙させて展示します。世界の陶磁器会社の動向をひもときながら、巨人に挑んでいった西浦焼の姿をお楽しみください。

日程
2021年4月24日(土)~8月29日(日)
時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日(祝日の場合は翌平日休み)
電話
0572-23-1191
場所
多治見市美濃焼ミュージアム(岐阜県多治見市東町1-9-27)
入館料
一般320円(260円)、大学生210円(150円)
※( )は20名以上の団体料金/高校生以下、身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳、療育手帳の交付を受けている方とその付添いの方1名は無料
備考
開催について変更する場合があります。詳細は多治見市美濃焼ミュージアムホームページで確認ください。

■同時開催 企画展「西浦焼―電燈所 た()コレクションを中心に-」

本展覧会は、多治見市美濃焼ミュージアムが収蔵する「電燈所 た禰󠄀コレクション」を中心に、明治時代に「美濃焼の美術品としては、唯一多治見に西浦圓治あるのみ」とも称された西浦焼を紹介する企画展です。

「西浦焼」とは土岐郡多治見町(現多治見市)を中心に、明治初期より三代から五代西浦圓治(にしうらえんじ)のもとで製造されたやきもののことをいいます。なかでも五代西浦圓治が明治30年代から44年にかけて製作した、釉下彩と呼ばれる作品が広く知られています。釉下彩(ゆうかさい)とは、透明釉の下に多彩な色によって絵や文様を施す技法です。釉薬の下で発色するため上絵具などのはっきりとした色合いに比べて柔らかな雰囲気が特徴です。さらに図柄・形状についても、明治後期にヨーロッパで流行したアール・ヌーヴォー様式を採り入れているものが多く、世界的に見ても時代の先端をいく陶磁器でした。「西浦焼」という一つのブランドとして、多くは欧米向けの輸出品として販売されました。

一方「電燈所 た禰󠄀コレクション」とは、明治時代に多治見へ電気をもたらす合資会社「多治見電燈所」加藤乙三郎(初代)の妻・加藤た禰󠄀が蒐集したコレクションのことです。

明治44年、東洋一の製陶工場とまで言われた西浦焼の工場が閉鎖されたとき、た禰󠄀はこうした秀れたものは二度と焼けないと考え、三十点ばかり買い求めました。これが陶器蒐集のはじまりでした。その後、昭和初期に桃山陶の「発掘ブーム」が起こり、東美濃地域から貴重な陶片が大量に持ち出されてしまいます。こうした中、た禰󠄀により窯跡から出土した桃山陶の膨大な陶片が蒐集、保管されたため、散逸することなく地元に残すことができました。そして西浦焼から始まった陶器蒐集は、「電燈所 た禰󠄀コレクション」として実を結ぶこととなります。

本展では当館が収蔵する「電燈所 た禰󠄀コレクション」を中心に、明治時代の美濃を代表するブランドである「西浦焼」の世界をご紹介します。

日程
2021年4月24日(土)~7月4日(日)
時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日(祝日の場合は翌平日休み)
電話
0572-23-1191
場所
多治見市美濃焼ミュージアム(岐阜県多治見市東町1-9-27)
入館料
一般320円(260円)、大学生210円(150円)
※( )は20名以上の団体料金/高校生以下、身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳、療育手帳の交付を受けている方とその付添いの方1名は無料
備考
開催について変更する場合があります。詳細は多治見市美濃焼ミュージアムホームページで確認ください。