「自分って小せぇと思わされました」。いつもは強気で負けん気いっぱいの松山が珍しく完敗を認めていた。その相手とは一体…？

さかのぼること1週間前。「NPBアワーズ」に出席する松山は服装に迷っていたという。「くるぶしが見える短い丈のスーツにするか。裾が長めの王道スタイルでいくか」。選んだのは無難に裾が長めの一着だった。

しかし、会場に着くと想像をはるかに超えた猛者がいた。「目の前からちょんまげ姿の殿様が歩いてきました」。楽天の辰己だった。裃（かみしも）とはかまをつけた侍姿、切り裂きジャック、甲冑（かっちゅう）をまとった将軍姿という早着替えで会場の視線を独り占めした辰己に圧倒されてしまった。

「来年参加させてもらえても、僕は普通の格好でいきますからね」と松山。ただ、どこか悔しそうな表情を見ると、いつか誰もが驚くようなパフォーマンスをしてくれるのではないかと期待してしまう。

長森　謙介