マイティラインとは

新型コロナと新聞

    • 2020年04月15日(水)
    • いいね新聞生活

世界じゅうで猛威を振るっている新型コロナウイルス。国内でも衰える兆しを見せるどころか、都市圏を中心に日に日に感染者が増えています。4月7日には安倍首相が新型コロナ特措法に基づき、7都府県で緊急事態宣言を発令し、愛知、岐阜、三重の東海3県でも知事が4月9日に独自の緊急事態宣言を出しました。

宣言を受けて軒並み休校延長、公共施設の閉館、商業・サービス関係は日常生活に必要な業種を除き、休業や時間短縮が目立つようになりました。通勤時や職場内での感染防止のため、在宅勤務(テレワーク)にする事業所も増えています。いよいよ生活の隅々まで新型コロナが入り込んできたことを実感します。

コロナとは関係ありませんが、「時をかける少女」など青春映画で知られる大林宣彦監督が10日に亡くなりました。「晩年、非戦や平和を希求する作品の製作に注力していた」との訃報記事を12日付の中日新聞で読み、ふと、コロナ禍に直面している今って、かつて国民が戦争に巻き込まれていった状況を疑似体験しているのかも…、と思いました。もっとも、国家間との戦いではなく、人類とウイルスとの地球規模の闘いですが…。

余談になりましたが、ここのところ、コンビニなどで新聞の売れ行きが伸びていると聞きます。スマホの伸長と反比例するかのように、この10年余り、新聞の価値は相対的に低下傾向にあることは否めません。ただ、大災害が発生すると、新聞は本来の力を取り戻し、その必要性が見直されます。

東日本大震災の例を見ても明らかなように、大地震が発生しライフラインが麻痺すると、たちどころにテレビやスマホも使用できなくなり、圧倒的に情報の「量」が不足するからです。

今回の新型コロナ禍では、震災時のように停電や通信障害が起きているわけではなく、スマホもいつも通り利用できます。その中で、街頭で新聞が売れているというのは、日ごろ自宅で新聞を購読していない人でも、確かな情報を得たい、つまり情報の「質」を求める人が増えている、ということではないでしょうか。

前回3月9日付の当欄でも「新型肺炎とデマ」をテーマに書きましたが、新聞社の使命は、多方面からの取材を通して、確実で役に立つ情報を読者に届けることです。このマイティーラインでも、「コロナ対策」として中日新聞に掲載された新型コロナ関係の記事が配信され始めました。タイムリーな発信です。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには、人と十分な距離を置く「ソーシャルディスタンス」と、こまめな手洗いが必須とされます。そこにもう一つ、加えてほしいのです。「確かな情報を入手すること」を。新聞は、まさにそのためのライフラインなのです。(有)