育成から成りあがった松山は春季キャンプ中、追加でトレーニングメニューを組んでもらっていた。その理由は、先輩の体幹の強さに驚いたから。その先輩とは、現役ドラフトでオリックス移籍が決まった鈴木だった。

確かにどの練習メニューでも鈴木の体幹の強さは際立っていた。例えば背中にボールを乗せて四つんばいで歩くトレーニングでは、ボールがぴくりとも動かない。当時、同じ練習で何回も球が落ちていたDeNA・京田は「博志、えぐいです」とうなっていた。

けがが多かったアマチュア時代からコツコツ鍛え上げた肉体に鈴木は胸を張る。「僕、ドラゴンズに入ってから大きなけがをしなかった。そこだけは誇れます」。無事是名馬。リーグ3連覇中の猛牛軍団でもけがさえなければ、機会は巡ってくる。あとはチャンスの神様の前髪をつかむだけだ。

長森　謙介